愚迂多良童子の日記

気の向くまま、風に吹かれるまま、ゆるく生きよう。

「本の使いかた」が面白かった。

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「考える人」春号が届いた。

その中の対談記事、「本の使いかた」が面白かった。

 

文筆家である山本貴光さんと吉川浩満さんが

いかに本を探し、読み、書くかを楽しく語っている。

 

読んでいて、特に共感を覚えたのは吉川浩満さん。

吉川さんはプロフィールが文筆家となっているが

実際には生活のための別の仕事があり

空いた時間に趣味として読んだり書いたりしているのだそう。

高校卒業までは体育会一筋のスポーツ青年で

大学に入学してから哲学の面白さに目覚めたらしい。

それを境に猛烈に読書を始めたのだとか。

 

話の中でなるほどと思ったのは、

過去に深刻な鬱状態に陥ったことがあったそうで

そのときは本を読むことによって救われたのだそう。

確かに、本を読むことによって「自分」を忘れ

現実逃避できるところがあるなあと思った。

 

圧巻だったのは

デジタルツールの使いかた。

何かを書くときの情報収集策として

新刊.netというサイトを利用しているのだそうで

きになる出版社や叢書名、キーワードを登録しておくと

関連する記事がGoogleカレンダーに自動的にピックアップされるらしい。

また、一万冊ほどの本を「自炊」して

きになる箇所やメモしたものをEvernoteに放り込んで

抜書き集のように利用しているのだそう。

 

わたしは本は紙派で、

電子書籍にいまひとつはまれないけれども、

山本さんの発言

「人間と書物、人間とデジタル装置では、同じテキストを読むのでも

 触れ合う面で生じることが違います。デジタルガジェットでも大丈夫

 だと感じるものと、そうはいかないもの。私は区別があると思っています」

で、すこし救われた気がする。

 

終盤のまとめでは

読むことについて、二人の共通の恩師である赤木昭夫先生の言葉

「底意地を考える」について語っている。

底意地を考えるとは、本に書かれていることから類推して

書かれていない背景や問いを考えぬくこと。

山本さんが将棋やチェスなどのゲームを引き合いに出して

「相手のことを考え抜いた人が勝つのと一緒で

本も考え抜いた人が多くの示唆を得ることができる」と語っている

 

本を読むのも一種の格闘技なのだなあと思った。